中国で地上げの被害が深刻化している。かつての日本と同じだが、決定的に違うのは、地上げしているのが民間業者ではなく、政府の役人たちだということだ。ジャーナリストの富坂聰氏が報告する。
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いまだ好景気に沸く中国では、かつての日本さながら地上げの被害が大きな社会問題になっている。
ただ中国での地上げが日本と違うのは、そのほとんどのケースが、地方政府が農民(農民だけではないが)から強制的土地を取り上げるといったケースなのだ。地方でこうした被害に遭った人々は、中央に窮状を訴え出るのだが、こうした人々は陳情者と呼ばれて北京でバラックを建てて暮らしている。
さて、ではこうした地方政府が強引な手段で土地を取り上げるケースは、現状でどうなっているのだろうか。
もちろん、その総数を把握する統計はないのだが、先月末には観察部、国土部、住建部、国務院が合同でこの半年間の問題に対する実態調査を敢行し、なかでも死傷者を出した酷いケースについては関係者を捕えて起訴するという手続きを行った。
その結果、全国十一のケースが調査対象となり、合計五十七人が規律違反で取り調べを受けたのである。この五十七人には、副省長クラスの幹部が一人、市長クラスが四人、県長クラスが二十人、その下の幹部が約三十二人いたというのだ。このうち三十一人が司法部門へと回され起訴となったという。
まあ、こうした人々には厳しい処分が下るのだが、全国で起きている土地の強制奪取や北京に流れてくる陳情者の数から考えれば、氷山のほんの一角に触ってお茶を濁したに過ぎないものだ。