1980年代に少女たちを熱狂の渦に巻き込んだ女子プロレスラー、クラッシュ・ギャルズのライオネス飛鳥(48)が次なる舞台に選んだのは、銀座という女の戦場だった。
住所も電話番号も非公開、最大20人程度しか入れない会員制スナック「gangs」は、高級クラブが林立する中心部からほど近い場所にある。
クラブから吐き出された客やホステスが街に出始めた午前0時頃、記者が店で待っていると、髪を明るい茶色に染めたホスト風の人物が男女2人連れの客を連れて入ってきた。
差し出された名刺に書かれていたのは「代表 ライオネス飛鳥」。今も毎日トレーニングを欠かさないといういかつい体型だ。本人に、プロレス引退後の第二の人生を飲食、しかも銀座を選んだ理由を聞いた。
「独立前に3年間ほど、友達が経営するお店で働いていたんです。その中で、自分でもできるのではと思いました。クラッシュ・ギャルズを知っている30~40代の女性が、今の銀座の中心なんです。その人たちが世代交代してしまったら遅い。自分のお店を出したのは勢いとタイミングですね」
客の7割はクラブのアフターでホステスがお客を伴って来るパターン。現在5年目、ようやく余裕が出てきたというが、震災後の景気の落ち込みとは無縁ではいられなかった。以前は来店を断わらざるを得ないほど活況を呈したが、
「クラブが忙しいと、ウチも忙しいし、クラブが厳しいと、アフターもありませんから、ウチも厳しくなりますね」(同前)
客単価は3万円前後、決して安い店ではない。
「でも、やるからには一番を目指したい。『飛鳥のお店、暇なんだってよ』って、絶対に周りにいわれたくないですから。師匠のジャガー横田に『一番じゃなければ、2番はビリと一緒だ』っていわれて育てられたんです(笑い)」
横にいた常連客に「この店の魅力は?」と聞くと、「ブスばっか」と即答。これにはカウンターの向こうで働いていたスタッフらも一同大爆笑だった。
※週刊ポスト2011年10月28日号