夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回の報告は、家電メーカー勤務のご主人(53歳)。週に一度は奥様(51歳)とカラオケを楽しんでいます。
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先週の日曜日は車で1時間ほどの郊外のカラオケ店に行きました。家の近くにもあるんですよ。でも、そこは出入り禁止状態というか……。以前は2人で仲良く交互に歌っていたんですが、ある時、歌唱力に自信のある妻が「『採点』っていう項目があるじゃないの。やってみましょうよ」といい出しました。
まずは普通の採点。私の歌った『矢切の渡し』は87点でした。「まあまあだけど、90点は欲しいわね」そういいながら情感たっぷりに歌った妻の十八番『天城越え』はまさかの76点。「おっ、おかしいわよ!」と、続けて歌った『ラブ・イズ・オーヴァー』も75点。すかさず、室内の電話を取り、「ちょっと来て!」と、店員を呼びつけた妻。
「この機械、壊れてるわ。取り替えて!」「いや、そんなことは……」「じゃあ、なんで私の得点が70点台なのよ!」
2軒目の店では、その曲を歌った全国の人の中で何位かが分かる「全国採点」にチャレンジすると、妻の『ふたり酒』は約3000人中、2700位。すると、「こんな店、ヘン!」とマイクを床に叩きつける始末。
行くたび、店とトラブルになり、「絶対、全国1位になる!」という妻に付き合ってのカラオケ店流れ旅が続いております。
※週刊ポスト2011年10月28日号