高級住宅街として知られる東京・自由が丘。その閑静な住宅街の中に、無機質なフェンスで区切られた更地がぽっかりとあった。ここには、アパレルメーカー『リンク・セオリー・ジャパン』の元社長兼CEOの佐々木力さん(享年60)と女優・萬田久子(53)のふたりの新居が建つはずだったのだが…。
佐々木さんとは正式には入籍していなかった萬田。自由が丘のこの土地はすべて佐々木さんの持ち分となっているため、萬田が自由に売買することはできない。総資産は200億円ともいわれる佐々木さんだが、もちろんそのすべてが萬田のものにはならない。
相続人となるのは佐々木さんの子供たちとなるが、法律上の妻との間に生まれた子供である「嫡出子」と、そうでない「非嫡出子」では受け取れる割合が変わってくる。佐々木さんの場合、前妻との間に3人、萬田との間に1人の子供がいる。萬田の子は認知されているので相続人とはなるものの、非嫡出子のため法定相続分は前妻の子の半分。
しかし、萬田の長男は、自らの結婚を生前、佐々木さんに認めてもらえず、萬田らと対立。長男はいまも「結婚を認めてもらえないのなら財産もいらない」といって、萬田との確執が続いているのだという。
さらに事態を複雑にしているのが、隠し子の存在だ。
佐々木さんが亡くなる直前になって、かつて佐々木さんの部下として働いていたA子さん(41)との間に女児が生まれていたことが発覚した。佐々木さんはこの子供も認知しているため、通常であればこの5人にそれぞれの権利分が分配されることになる。
その割合は、前妻の子3人が全体の4分の1ずつ、萬田の子とA子さんの子は8分の1となる。
遺産相続や不動産に詳しい、弁護士の渥美雅子氏は萬田の状況をこう説明する。
「内縁の夫である佐々木さんとは籍にはいっていなかったわけですから、佐々木さんの名義の土地なので、前妻の3人と愛人のかたのお子さんと萬田さんのお子さん、相続人5人の同意がないと、そこに新しく家を建てるわけにはいかなくなります。また、建てた後も子供たちに相続権はありますから、佐々木さんがお金を出した分に関しては子供たちが相続することになりますので、萬田さんひとりのものにはなりません。
一緒に共同で建てようとしていたパートナーを失ったことによって、子供たちへの財産分与が発生するため、萬田さんひとりの意向で建てることができなくなってしまうのです」
※女性セブン2011年11月3日号