善意ある人が募金し、被災者がそのお金を受け取る――義援金の「入り口」と「出口」は単純明快だ。
しかし、被災者に届くまでのルートを追うと、急に複雑になる。街頭募金、コンビニやスーパーなどが店頭で集める募金、新聞やテレビなどが呼びかける募金など、窓口が複数あるからだ。
寄付金が被災者に届くまでの流れを大まかにいうと、寄付金の多くは、まず一度、日本最大の募金受付団体である日本赤十字社(以下、日赤)や中央共同募金会などに集められる。
例えば、日本生命が8月末までに集めた約1億7400万円は全額が日赤に寄託され、安室奈美恵(34)の5000万円、ファーストリテイリンググループの柳井正代表取締役(62)の10億円も日赤に寄託されている。
「“被災者のかたがたへ公平に届けたいが、どう配分したらいいかわからない”という理由で、私たちのような団体に寄託する企業、団体さんが多いですね」(日赤広報担当者)
日赤によると、同社に届いた義援金は10月7日現在、約2910億円に達するという。
こうして全国から集まった義援金は、全額が被災者に現金として配られる。いくらずつ分けるかは、日赤が独自で判断するのではなく、厚労省に置かれた「義援金配分割合決定委員会」で決められる。
最初に委員会が開かれたのは4月8日。この時点までに集まっていた857億円を、被災した15都道県の被害状況に応じて、1家庭あたり次のように配ることを定めた。
●住宅全壊35万円、半壊18万円
●死亡・行方不明35万円
●原発避難35万円
「送金を開始したのが4月13日で、最初は福島県、栃木県、長野県に計233億円を送っています」(日赤広報担当者)
震災から1か月以上経っているだけに、「遅い」との批判もあったが…。
「公平な分配を目指すためでした。スピード対応に遅れた点は反省しております」(日赤広報担当者)
義援金は一定額が集まるたびに、義援金配分割合決定委員会が開かれ、一次配分、二次配分……といった具合に分けられる。つまり、被災者はそのたびに義援金を受け取ることができるのだ。
6月6日には2回目の義援金配分割合決定委員会が開かれ、二次配分として1416億円を追加で送金した。
「2回目に送った義援金は、被害状況に基づき額を決め、あとは各自治体が自由に裁量できるよう1家庭あたりに配る金額を定めていません」(日赤広報担当者)
※女性セブン2011年11月3日号