『週刊現代』に掲載されたノンフィクション作家・岩瀬達哉氏による連載「かい人21面相は生きている――グリコ森永事件の真実」の最終回で「あなたが『21面相』だ」と作家・黒川博行氏が「真犯人」にされた問題で、同氏は「腸が煮えくり返る」と表現した。日本中を騒がせた未解決事件の犯人に擬せられる怒りとはどういうものなのか。過去に「キツネ目の男」として犯人視された経験を持つ人物がいる。それは作家の宮崎学氏だが、同氏は今回の件についてどう思っているのか。
――『週刊現代』に掲載された岩瀬氏の記事は読んだか。
「いや、まったく知りません。(記者が内容を説明するが)ふ~ん。どんな状況での取材だったかとか、詳しい事実関係が何も分からないので、コメントのしようがないよ」
――宮崎さんも過去に警察やマスコミからグリ森事件の犯人と疑われたが。
「もう古い話だから忘れたね」
――同じ事件で疑われた経験を持つだけに、犯人と決めつけられた側の苦悩が分かるのでは?
「オレはメシの種になったから有難かったけどね(笑い)。書いた岩瀬さんだって記者という生業で書いた記事でしょ。どれだけ取材したか知らないけど……。他人がとやかくいう問題じゃないでしょ」
――黒川氏に対しては?
「黒川さんとはまったく面識もないけど、(岩瀬氏に)文句があるならいえばいい。でも、あなたも記者なら分かるでしょうが、取材なんてキツネとタヌキの化かし合いみたいなものだからね。オレも昔よくやったから分かるよ」
――今後、真犯人が出てきて真相を話す可能性は?
「まったく分からんね」
かつて犯人像について著書で〈ヤクザを含むアウトローの犯罪プロフェッショナル集団ということになる〉と見立てていた宮崎氏だが、さすがに2000年に時効を迎えた昔の事件にほとんど関心はないようだった。
※週刊ポスト2011年11月4日号