これが『やまとなでしこ』『救命病棟24時』などで視聴率女王の名をほしいままにした女優の貫禄ということか。松嶋菜々子が主演するドラマ『家政婦のミタ』(日本テレビ系、水曜22時~)は、初回平均19.5%、第2回が18.7%と、高視聴率をたたき出した。
市原悦子主演の人気ドラマ『家政婦は見た!』をもじった技ありタイトルの本作で松嶋は、依頼主から命令があれば、「承知しました」と完璧に仕事をこなすヤリ手家政婦・三田灯を演じる。父親(長谷川博己)と4人の子供たちの一家が直面するトラブルを解決に導く役どころだ。
それにしても、“トレンディ女優”が2年ぶりに主演するとはいえ、もう38歳という立派なアラフォー。なぜここまで視聴者の関心を集めているのか。作家・麻生千晶氏の分析。
「市原さんのドラマのおかげで、家庭の内側を覗く家政婦モノは面白いという刷り込みが出来上がりました。このドラマはそのイメージの横取りに成功しています。また、亡くなった奥様の服や仏壇を命じられるままに庭で燃やしたり、隣の家の奥さんに水をぶっかけたりと、普通ではない家政婦像を見せてギョッとさせる仕掛けが利いていますね」
脚本は遊川和彦氏。麻生氏は遊川氏がかつて手がけたあのヒット作との共通点も嗅ぎ取る。
「謎多き不気味な主人公が、回を追うごとに真っ当な人物だとわかってくる手法は、天海祐希さんが教師を演じた『女王の教室』と似ています。あまり演技力があるとはいえない松嶋さんに、あの無表情の家政婦役というのも、作り手の計算高さを感じます」
※週刊ポスト2011年11月4日号