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食生活の欧米化で血液の流れが悪くなる大動脈弁狭窄症が増加

高齢化や食生活の欧米化により、大動脈弁狭窄症が増加している。心臓の左心室の大動脈弁が硬化や石灰化し、送られる血液量や血圧が低下すると狭心症や心不全を起こす。大動脈弁置換術の手術による治療が一般的だが、高齢で合併症を併発していると、リスクが高いため実施できない。最近、低侵襲な代替治療として、カテーテルによる大動脈弁留置術での治療が可能になっている。

血液は心臓の左心房から左心室に入り、大動脈から全身に送られる。大動脈弁は左心室の出口にある半月形の膜が3枚合わさったもので、左心室が収縮すると開いて血液を送り出し、左心室が拡張すると大動脈弁が閉じて逆流を防ぐ。

この大動脈弁が狭くなり、血液の流れが悪くなるのが大動脈弁狭窄症だ。食生活の欧米化や加齢により大動脈弁が硬化や石灰化を起こして出口が狭くなる大動脈弁狭窄症や、先天的に大動脈弁が2枚しかない二尖弁、数は少ないがリウマチ性のものもある。

原因は違っても症状は同じで、全身への血流量や血圧が低下し、進行すると狭心症や失神、心不全などの症状が起こる。大阪大学医学部附属病院心臓血管外科の澤芳樹教授に話を聞いた。

「大動脈弁狭窄症の標準治療は大動脈弁置換術です。胸を大きく切開し、人工心肺装置で60分程度心臓を止め、大動脈弁を人工弁に取り換えます。6割が手術適応で、リスクも2%程度ですが、4割は高齢で肺や腎臓にがんなど合併症があり、全身状態が悪い患者です。リスクが10%を超えるため、手術は困難ですが、治療せずに放置すると1年以内に約半数が死亡します」

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2011年11月4日号

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