ライフ

2人の子に土地や建物を平等に遺したいなら現金化すると良い

竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「2人の子供に、財産を平等に相続させたいのです」と以下のような質問が寄せられた。

【質問】
子供が2人おり、遺産を双方平等に相続させたいと思っているのですが、実際にはむずかしく、例えば住宅でも、土地も建物も2分の1ずつ分けるのは難しいので困っています。揉めないようにするために、遺言の書き方などを含めて、大事なことは何でしょうか。アドバイスをください。

【回答】
実際に分けてしまうと使い物にならない土地や建物が遺産の中心である場合、これを平等に分けるのは大変です。遺言で因果を含めて一方に渡し、残りの遺産を他方に遺すとしても、バランスを欠けば争いの原因になりますし、計算上は公平でも、希望が叶わなかった方には不満が残ります。土地建物をそのままの状態で相続させることにこだわらないなら、換金して現金にしておけば平等になり、2人も不公平感は持たないでしょう。

しかし、あなたの住む家がなくなっては困ります。そこで、死後の遺産分割の方法として、処分して現金で分けるように遺言する方法が考えられます。というのは、被相続人は遺言で遺産分割の方法を定めることができるのですが、その方法には、実際に遺産を分ける現物分割のほか、遺産を換価処分した代金を分割する価額分割という方法もあるからです。

そこで死後、自宅や不動産を売却して、その代金から経費を差し引いた残りを2人に平等に取得させるという遺言をしておくことができます。さらに処分方法について揉めないようにするには、信頼できる人物を遺言執行者に指定し、遺言執行者が処分し、代金を分配するようにしておくことです。

不動産を残し、かつ平等に与えたいというのであれば、遺言で2人の共有として相続させることも考えられます。あなたの死後、円満に解決してくれることを期待する案です。ただし、その場合は共有物になるので、すぐにでも一方からその分割を請求できます。

分割がむずかしい場合には競売されて代金が分けられます。十分熟慮し、知恵を絞って解決することを希望するのであれば、遺言で5年間分割を禁じることも可能です。どんな遺言にするかは、2人の希望も聞いて、弁護士など専門家と相談するのがよいでしょう。

※週刊ポスト2011年11月4日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン