テレビの劣化を最も如実に表わしているのが「夕方のニュース」だ。現在、夕方5時~7時台の情報番組では、長らく視聴率トップに君臨してきた『スーパーニュース』(フジテレビ系・以下『スーパー』)を、2位の『news every.』(日本テレビ系・以下『エブリィ』)が猛追している。しかしその激しいトップ争いの中身を見ると、「これってニュース?」と首を傾げてしまう内容なのだ。
試しに10月20日の両番組を比べてみた。すると、どちらも番組名に「ニュース」とつく割には、ニュースが非常に少ないことに気がつく。番組の中でニュースが占める割合は、『スーパー』は全119 分の放送時間のうち60分30秒、『エブリィ』は全127 分で同じく60分30秒となった。
残りは「芸能」と「特集企画」がほとんどだ。何でこんなことになっているのか。『スーパー』のスタッフが打ち明ける。
「30~40代の主婦層がメインターゲットのため、ニュースは視聴率が上がらないんです。『スーパー』もライバルの『エブリィ』も、ニュースの時の視聴率はだいたい8~9%しかないから差がつかないのですが、芸能ニュースの時だけ数字が2ケタまでハネ上がる。だから、どうしても扱いが大きくなるんです」
これは『エブリィ』でも同様のようだ。
「主婦には政治・国際・ヤクザなど硬派ネタはさっぱりウケない。例外は、人魚の入れ墨が入ったニューハーフの遺体発見のような、エログロがらみの事件だけ。ギリシャのデモなんかはやらないわけにはいかないからやりますが、正直あまり時間は割きたくない」(『エブリィ』のスタッフ)
※週刊ポスト2011年11月11日号