加賀温泉郷の片山津温泉(石川県加賀市)では、1970年代のピーク時に比べると温泉旅館も観光客も3分の1に減少した。夜8時を過ぎると人の姿はなく寂しいが、ソープ店だけは賑わいを見せている。平日の夜にもかかわらず、駐車場はどこも満車で、富山や福井ナンバーの車も多い。店の送迎車からは観光客とおぼしき男性が次々に降りてくる。
地元風俗関係者によると、近隣の富山、石川、福井は条例によってほとんどの場所でソープを設置できない。片山津は3県の利用客を一手に引き受けているという。あるソープ経営者は悲鳴を上げる。
「片山津のソープ文化を残さないとどんどん他県にお客を取られてしまう。藁にもすがる思いで、存続方法を考えています」
そこで登場してきたのがこの人の名前だった。
「地元選出の民主党・田中美絵子議員は元風俗ライターだから理解もあるはず。陳情に行ってはどうか、というプランが出ているほどですよ」(同前)
確かに温泉街には田中センセイのポスターがあちこちに貼られている。お膝元の騒動を、どのような目で見ているのか。早速事務所に取材したが、締切までに返答はなかった。残念。
「地元では彼女は反対派だ、いや賛成派だ、などと田中先生の“立ち位置”でも対立している。たかがソープと思われるかもしれないが、街にとっては重要な問題なんです」(前出の商店主)
廃れゆく温泉郷の経済は泡と消えるのか、それともイメージを刷新して新たなバブルが生まれるのか――。
※週刊ポスト2011年11月11日号