ライフ

年金支給開始年齢引き上げ 支給額最大950万円減のケースも

10月中旬、政府は年金の支給開始年齢を68才に引き上げる案を検討していると報じられた。このニュースに「私の老後はどうなる?」「支給額が大幅に減るのでは?」と不安を感じている人も多いだろう。

年金の支給年齢引き上げはいまに始まった話ではない。最近では、2000年の年金改正。60才から支給していた年金を、2013年度から徐々に65才から支給へと引き上げることに決まった。

しかし、今回、厚生労働省が検討しているのは、その支給年齢を65才から68才へとさらに引き上げたり、年齢引き上げのペースを早めたりする案。10月中旬に厚労省が提示した案は次の3つだった。

【A案】65才への引き上げペースを早める
支給開始年齢を引き上げるペースを現在の「3年ごとに1才」から「2年ごとに1才」にする。

【B案】68才まで引き上げる
現在のペースで65歳まで引き上げ、そのまま「3年ごとに1才」のペースで68歳まで引き上げる。

【C案】引き上げペースを早め、さらに68才まで引き上げる
A案のペースで65才支給を前倒しにし、さらに同じペースで68才まで引き上げる。

つまり、B案、C案では、68才まで年金がもらえなくなるのだ。また、この3つの案ごとに、支給開始年齢がどう変わるかシミュレーションしたところ、A案では来年4月1日時点で51〜57才の人が、支給開始年齢が現行よりも1~2才引き上げられる。同様にB案では48才以下の人、C案では57才以下の人が最大で3才引き上げられることとなる。

特定社会保険労務士の稲毛由佳さんの監修により、A案、B案、C案、それぞれのケースで年金支給額を試算した。現行に比べどれだけ減額されるかは来年4月1日時点の年齢に応じて異なってくる。

最も減額がきつくなるC案を見てみよう。例えば、本来65才から支給が始まるはずだった50才以下の人は、68才まで支給開始年齢が引き上げられることで、その間の3年分の年金はもらえなくなる。厚労省の現行のモデルケースでは、サラリーマン世帯の場合、夫が65才時点で受け取る年金は月額16万6000円。年間では199万2000円で、3年分なら597万6000円。68才支給なら、この3年分がごっそり受け取れなくなってしまうと考えられる。

制度変更で最も痛手を負うのは、51才の人。64才から支給が始まるはずが、68才からの支給開始で4年分の年金がなくなり、718万円の大幅減になる。

「さらに妻が専業主婦の場合、妻の年金月額6万6000円(厚労省モデルケース)も3年間もらえなくなる。3年分で237万6000円の減額です」(稲毛さん)

51才のサラリーマンと妻の家庭では、夫婦合計でなんと約950万円も年金が減ってしまうのだ。

※女性セブン2011年11月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン