国際情報

韓国の反日団体 ソウルの日本大使館前に慰安婦記念碑建設計画

韓国にとって最大の反日テーマとなっている慰安婦問題。いまや彼女たちは独立の功労者のような扱いになっているという。産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏がレポートする。

* * *
韓国では、日本統治時代の昔、抗日独立運動など日本の支配に抵抗した経歴のある人を「独立有功者」として顕彰している。政府に届けている元慰安婦の老女たちも似たような処遇を受けている。政府が生活支援をしているほか、亡くなると必ず顔写真付で経歴を紹介した死亡記事も出る。元慰安婦の老女たちは、支援団体とマスコミによって今や「独立有功者」並みになってしまったのだ。

元慰安婦の老女たちは、反日・抗日の功労者つまり「独立有功者」の役割をさせられてきたというわけだ。

「チョンデヒョプ(挺対協=挺身隊問題対策協議会)」など慰安婦支援団体は、その反日運動の象徴的建造物として以前から「記念館」と「記念碑」の建設計画を進めてきた。その目標がソウルの日本大使館前での「水曜デモ1000回」(1990年代以来毎週行われてきたデモ)の今年なのだ。

ところがまず、ソウルの旧西大門刑務所跡の独立運動記念公園に建てようとした記念館構想が頓挫した。独立運動関連団体に反対されたからだ。

日本の支配と戦った「光復会」などからすると「慰安婦がなぜ独立運動と関係あるのか」というわけだ。「挺対協」の機関紙にも「(運動の過程で)わが民族の恥をなぜ自慢そうにマスコミに広めるのか」と言った抗議や反対に直面した、とある。

「慰安婦記念館」は結局、場所を移し街はずれのさる場所に決まったが、支援団体としては今度は「何としても“記念碑”でガンバラなくっちゃ!」とばかり、こちらは日本大使館前の路上に建てることになった。

「日本大使館前に反日記念碑」とは、大胆不敵かつ国際的に前代未聞だ。

世界各地で反米運動があるが、米大使館前に反米記念碑などどこにもないだろう。反日では時に韓国以上に激しく厳しい中国でもそんな発想はない。

路上の建造物は地元の鍾路区役所の許可だが、認める方針という。外交的配慮も国際化時代もあったものじゃない。日本大使館は舞台裏で阻止工作に懸命だが、韓国政府(李明博政権)が政治的外交的配慮に動くかどうかだ。

日本大使館前に反日・慰安婦記念碑など何とも品がない。阻止に失敗すれば駐韓日本大使は本国召還ものだろう。

慰安婦問題では最近、韓国の憲法裁判所が支援団体などの訴えを受け入れ「政府が日本に補償交渉をしないのは人権無視」と判断したため、支援団体は意気上がっている。早速、韓国政府は日本に協議を要請したが、過去にかかわる対日請求権は1965年の日韓国交正常化条約に「完全かつ最終的に解決された」と明言されている。

「対日請求権資金は政府がまとめて受け取ったので個人補償は韓国政府に要求してほしい」といえば済む話なのに、それがいえずにまた日本に話をもってくるといういつもの図式だ。あんなに豊かになった韓国なのに。

※SAPIO2011年11月16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン