アップル社の創設者・スティーブ・ジョブズ氏が10月に他界したが、彼が遺した革新的な商品の愛好家は、日本にも数多くいる。その中の1人、ピーター・バラカン氏(ブロードキャスター)は、Macintosh SE/30(1989年)の思い出をこう語る。
* * *
ラジオで紹介する音楽のデータを整理するために、このモデルを買って以来Mac一筋。一度もWindowsに浮気をしたことがない。当時日本では90万円ぐらいしたけど、ドラッグ、クリック、ダブルクリックで何でもできるというのはMacだけでしたから、あまりの使いやすさに虜になりました。
さらに目を見張ったのがフォントの多さ。ジョブズは大学でカリグラフィの授業を受講していたそうです。これは欧文の文字を美しく見せるための技術、日本でいう書道ですね。この時の授業が生きたのでしょう。パソコンの文字といえば角張った味気のないモノが一般的だった時代に、マックは様々なフォントを画面に表示させ、私のような機械音痴を楽しませてくれたのです。
【プロフィール】
ピーター・バラカン 1951年生まれ。ロンドン大学日本語学科を卒業後、音楽出版社の著作権業務に就くため1974年に来日。現在、ラジオやテレビでブロードキャスターとして活動中。
撮影■ヤナガワゴーッ!
※週刊ポスト2011年11月11日号