豪快な一本釣りで知られる「大間(青森県)のマグロ漁」は、いまやテレビ局の年末年始番組には欠かせないキラーコンテンツとなっている。
「水揚げは画になるし、何より安定した数字(視聴率)が取れる。だから各局とも漁船に同乗するためにカネに糸目を付けない。8月から12月にかけては漁師の奪い合いです」(キー局情報番組関係者)
もちろん1度の出港で必ず釣れるわけではないので、複数の船に何日間も同乗する。「ある局はバラエティ番組のために、港内のすべての船を1か月近く押さえていた」(同前)という。
そんな「札びら攻勢」がエスカレートし、現在では同乗する際の謝礼は「1回10万円弱」が相場。悪天候のために30分で港に引き返しても値引きはなし。「テレビ屋さんたちを乗せとけばボウズ(釣果なし)でも儲かる」と漁師たちもホクホク顔だ。
かつては「釣れたら1年遊んで暮らし、釣れなきゃ夜逃げ」といわれた大間のマグロ漁。だからこそロマンもあり、人気が出たのだろうが……。
今年も大間の港に、テレビ局のロケバスがズラリと並ぶ――。
※週刊ポスト2011年11月11日号