賛成だ、反対だ、と政治家の間でも意見が分かれているTPP。テレビのニュースを聞いても、新聞を読んでも、やたら難しくて…という人が多いのでは。TPPに参加した場合、生活への影響もかなり大きそうな気配だが、日本経済を支える屋台骨である製造業には、どのような影響があるのだろうか。
まず、関税が廃止されることで車や家電などがいまよりも安く海外で販売できるようになり、輸出がさらに伸びることが予想される。
例えば、日本からアメリカへ自動車を輸出する場合、現在は2.5%の関税がかかっている。テレビの場合、最大で5%。
「TPPの参加には基本的に賛成」という立場から、慶応義塾大学大学院教授の岸博幸さんがいう。
「貿易を自由化することによって、GDP(国内総生産)は確実に増える。それはこれまで貿易を自由化した他国がGDPを伸ばしたという歴史が証明しています。もちろん農業などでデメリットもありますが、輸出を拡大できるメリットのほうが大きい」
お隣・韓国はすでにアメリカ、EUとの間で自由貿易協定を結び、関税は0%になっている。ただでさえ、ウォン安で韓国製品の人気が高まっているなか、日本としてはこれ以上価格で差をつけられたくない思惑もある。
内閣府は、TPPに参加することによってGDPが2.7兆円アップすると予測している。また、経済産業省は、もしTPPに参加しなければ、GDPが10.5兆円減少し、81万人以上の雇用が失われると予測して、TPP参加への旗を振っている。しかし、TPPで大企業は世界に市場を広げ輸出で稼ぐことができるが、中小企業は販売先が国内のまま。逆に海外企業との競争にさらされる。
経済評論家の森永卓郎氏は、こう指摘する。
「輸出で儲かるのは体力のある大企業だけです。一方で、中小企業が海外との競争に敗れると、リストラ、廃業が進む。TPPでは、安い人件費で働く外国の単純労働者の受け入れも自由化される可能性があり、雇用にとってプラスの影響はありません」
※女性セブン2011年11月17日号