暴力団排除条例が施行されたことでテレビ局も暴力団との関わりに神経質になっている。出演する芸能人の身体検査にも余念がないが、まず自らの身体検査が必要ではないかとの指摘もある。
「ドラマの暴力団シーンを撮影するのに本物の暴力団員に監修をしてもらったことがある」(準キー局プロデューサー)というように、テレビ側から暴力団関係者に付き合いを求めるケースも少なくない。
興行に関わる暴力団関係者はこう証言する。
「テレビ局主催のイベントのチケットの捌(さば)きを手伝ったことがある。テレビ局のプロデューサーが、ウラで暴力団と繋がっていることを知って興行主のところにやってきて、“イベントのチケットが半分しか売れない。中継で恥をさらせないから、捌いてくれないか”と依頼してきた。取り分半分で捌いてやった」
互いに利害が一致しているから、付き合いはズブズブになる。暴力団側は繋がっている芸能プロに所属するタレントや歌手をテレビに出すことで人気を出し、イベントやディナーショーなどの営業のギャラを吊り上げて資金源にしたい。
「暴力団のフロント企業のような芸能プロがテレビマンに接待攻勢を仕掛けてくる。接待賭けゴルフや接待麻雀に誘い、わざと負けて大金を掴ませるなんてまだ序の口です。関係する銀座や六本木などの高級クラブを自由に使わせるだけでなく、若手の女性タレントを用意した宴席まで設けて、飲ませ食わせのドンチャン騒ぎをやる。さらには暴力団の息のかかったソープランドに招待することもある」(キー局の元幹部)
そうして“落とされた”テレビ局プロデューサーは、番組の企画からキャスティングまですべてを握られるのだという。そして、“あちら側”にどっぷりと浸かるテレビマンも出てくる。
警視庁捜査関係者がいう。
「暴力団の密接交際者が経営する西麻布の会員制クラブに通っていたキー局のテレビマンがいるようだ。そこで、どのようなネットワークが築かれていたのか、関心を持っている」
テレビ局は暴力団の“被害者”を装うが、何のことはない。現在の当局の異例の捜査体制を生み出した要因の一端は、テレビ局にあったのだ。
※週刊ポスト2011年11月11日号