竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は「我が家の建つ借地を買い上げたいのですが」と以下のような質問が寄せられた。
【質問】
わが家の敷地は地主から借りた借地です。この土地をできれば買いたいと思っているのですが、地主にそういう申し出は、どのタイミングですればいいのでしょうか。借地契約の期間はまだ半年残っていますが、大丈夫でしょうか。また、話をするにあたって大事なことをアドバイスください。
【回答】
地主にお金の入用ができたときがベストのタイミングです。多いのが相続の発生時です。高額の相続税を納めなければならない相続人が、納税資金作りに、借地人に底地(借地権の負担がある土地)の買取りを求めるケースがあります。金額が相当であれば購入すべきです。
とはいえ、地主の申出額が相場より高かったので断わったところ、地主が底地を国に相続税の支払いとして物納し、その結果、国から安く買えたという例があります。国は底地の買取り額が妥当であれば、借地人に払い下げます。この例の場合は相談を受けた時点で、地主は物納するとわかっていたので、高値買取りを断わるように助言しました。もし物納予定がわからなければ、悩んだはずです。
一方、地主からの持ちかけがないのに買いたいといえば、受給の原則から当然、買取り額は上がります。ご質問によれば、ちょうど更新の時期ですから、更新料の支払いに代えて、その額よりも相当多額になる買取りを提案する好機かもしれません。もちろん地主に売る義務はないので、断わられれば他日を待つしかありません。
申し出にあたっての注意点ですが、底地買取りに特別な規制はなく、普通の契約の交渉と同じです。金額は付近の取引例が参考になります。わからなければ、土地の路線価を調べます。路線価は公示価の8割程度とされているので、8割で割り戻した金額を公示価並みの更地価格とし、そこから借地権割合を控除して底地を求め、買取り額とすることも考えられます。
また、土地の権利関係を登記簿で調べてください。一筆の土地の一部が借地になっている場合、測量して分筆する必要がありますから、その費用などを考えておくことも大切です。さらに、底地に抵当権などが設定されていれば、その抹消も念押ししてください。
※週刊ポスト2011年11月11日号