タコ焼きやお好み焼きだけじゃない! ついつい食べたくなるのが「粉モノ料理」。……というわけで、グルメ雑誌『アリガット』誌の元編集長・小川フミオ氏がセレクトした、『オーセンティック』(東京・浅草)の「バンコット」を紹介します!
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関西が粉モノのスーパーマーケットだとすると、東南アジア諸国は10階建てデパートぐらいのバリエーションが実はある。
ベトナムも例外でなく、たとえばバインセオは日本でも人気が高い。こちらが“ベトナム風お好み焼き”といわれるのに対して、タコ焼きに当たるものもある。それがバンコットだ。
まさにタコ焼きのような型にココナッツミルクとココナッツジュースで溶いた米粉を流し込んで作る。「ベトナムのおいしい料理をいろいろ紹介したい」という、浅草のベトナム料理店『オーセンティック』の中塚雅之シェフ肝入りの一品だ。
有機農法のハーブがたっぷり添えられるのも、このお店ならでは。香り高いハーブと一緒に、ヌクチャム(ピリ辛のタレ)をつけて口の中に入れると、フライドオニオンやネギの風味がエビの味と混ざりあい、深みのあるうまさを感じる。香りと素材を活かせば味付けは強くなくても印象深い料理ができる。これが、アジアの力である。
■『オーセンティック』の「バンコット」1680円
【住所】東京都台東区浅草1-1-12 浅草地下商店街
(地下鉄銀座線浅草駅直結。8番出口の階段前を左折)
【営業時間】ランチ12時頃~15時、ディナー18時頃~22時半LO(23時閉店)
【定休日】月(不定休)
【カード】不可
高円寺の人気店が今年3月に移転。中塚雅之シェフと森泉麻美子さんの2人が手がけるベトナム料理は評価が高い。ランチは麺類と飯類が中心。バンコットは11月からの新メニューで、ランチ時に提供するか検討中とのこと。牛肉や鶏肉のフォーの他、シェフの気合いが入ったコース料理(4000円~)も人気。
撮影■河野公俊
※週刊ポスト2011年11月11日号