中国のバブル崩壊が懸念されている。日本型とは違うものの、それが中国経済の失速要因にならないはずはない。このバブルを支えてきたのが、天文学的な地価上昇だ。ジャーナリストの富坂聰氏が解説する。
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中国の都市部でマンションの投げ売りが始まっている。これはもちろん大都市圏を中心とした地価の下落(中国の場合は使用権の売買価格だが)を受けた動きである。つまり、中国でもいよいよ不動産価格が頭打ちとなり始めたことを象徴する出来事なのだが、肝心なことは日本でいわれるようなバブル崩壊とも違うということだ。
日本の場合、バブル崩壊が不良債権を生み、これが銀行の資産状況を悪化させ、銀行が自己の経営健全性を保つために中小企業などを中心に貸しはがしに走り、ついには経済全体を冷え込ませたのであるが、中国の場合にはもう少し違う影響になると考えられるのだ。
というのも地価の暴騰の背景には個人で複数のマンションを買うものがいるなどの余剰資金の運用先との色彩も濃く、この場合には銀行融資はあまり関係ないからだ。つまり、地価下落で個人の資産は目減りするが、これによって銀行が大きなダメージを受けるといった日本型の問題にはならないということなのだ。
では、最も大きな打撃を受けるのはどこなのだろうか。
答えは地方政府の財政である。先月末、中国の清華大学の管清友教授が発表した調査結果によれば、中国の地価は1980年代末からの21年で6732倍にもなり、年平均で320%になった計算になるというのだ。
この天文学的な上昇の最大の受益者は言わずと知れた地方政府である。そして地方政府は、この土地の売買益で得た資金を公共事業に振り向けてきた。つまり、現在の中国経済の最大のエンジンである公共事業の元手が大幅に失われようとしているのだ。
日本のバブル崩壊とはいかないまでも、これが中国経済の失速要因にならないはずはない。