太平洋の楽園ともいわれるフィジーに駐在していた台湾の大使が在任中、日本大使館の女性書記官と「不適切な関係」にあり、公費を使って高価な贈り物などをしていたなどの疑惑が浮上、台湾のマスコミも大きく報じるなど国際的なスキャンダルに発展している。台北地方検察署は10月25日、この外交官の審問を開始、出国停止を言い渡した。
問題の人物は秦日新(チン・リーシン)前駐フィジー代表処代表(大使に相当=54)で外交官の中でもイケメンともっぱらの評判だ。
このスキャンダルを暴露したのは台湾の野党・民進党の高志鵬(ガオ・ジーポン)立法委員で、高氏の告発から地検が動き出した。秦氏は地検の審問で、公費流用や不倫疑惑に関して全面否定したが、地検はさらに捜査を進めている。
高氏の告発によると、秦氏は昨年7月以降、同じく駐フィジー日本大使館に勤務していた30代の日本人女性書記官と密会し、公費で食事を重ねたという。秦氏はその日本人女性を何度も公邸に招き入れたばかりか、女性の帰国後は日本にまで会いに行ったという。
今年6月、出張で台北に滞在していた秦氏は記者会見し、「彼女とは2009年にフィジーで開催された国際フォーラムで知り合ったが、特別な関係ではない。彼女が来たのはフィジー情勢のレポートを書くためで、連絡などに使った費用も規定通り」と釈明した。
秦氏のお相手の日本人女性書記官は独身で、2009年4月から2年間の任期付き職員(三等書記官)として駐フィジー日本大使館で勤務していた。現地では美人外交官との評判も高かったという。今年3月末に任期が満了し帰国した。
その後の台湾外交部の調査で、秦氏は公費で女性と2人だけで20回以上食事していたことや、女性との電話が1か月で50回以上にも上り、女性が頻繁に公邸を訪れ、宿泊していたことも明らかになった。
7月下旬、秦氏は、この騒動の責任を取る形で駐フィジー代表職を辞職、外交部では秦氏を停職処分としていた。今後の捜査によっては秦氏により重い処分が下る可能性がある。
台湾では、来年1月に総統選挙が予定されているが、秦氏は与党・国民党に近いとされるだけに事件には政治的な背景があるのではとの指摘も出ている。