今年1月、医師から「余命半年」宣告を受けた命は、9か月経ったいまも静かに輝いていた。現在、神奈川県内の総合病院に入院してがん闘病中の入川保則(71)は、手術や抗がん剤投与など、一切のがん治療を拒否してきた。
「何もしないことで、余命を3か月オーバーして生きているんです」
そういって笑う入川は、日々近づいてくる死に正面から向き合っている。そもそも10月に入院を決めたのにも理由があった。
「いまのぼくは、病院にいなければいけない状態ではないけれど、あと2~3か月、ひとり暮らしをするよりはここにいたほうがみんな安心しますからね」(入川・以下同)
入院にあたって入川は、重要な書類だけを手元に残し、家具などは友人に譲り、残ったものは全て粗大ゴミに。住んでいたアパートも契約切れ。葬儀の段取りも全て決めて、葬儀社にはすでに入金も済ませた。その葬儀での読経や挨拶も、入川自らがテープに録音しているという。
「ぼくの親父が亡くなったのは、26才のときでした。入院から永眠まで1か月しかなく、事前に葬式の準備をする暇もなくて大変だったんです。子供たちにそういう思いを絶対させたくないので、“自主葬”ということを考えたんです」
※女性セブン2011年11月17日号