極寒の地・南極を舞台に、日本人としてのプライドをかけた男たちの闘いが繰り広げられる話題のドラマ『南極大陸』(TBS系)。実はその地に、これまでのべ49人の女性隊員が立っていた。
死と隣り合わせの環境のなかで重要になってくるのが隊員同士の助け合い、絆の深さだ。閉ざされた昭和基地は、まさに“村”。実際に越冬隊では、ふたつある居住棟ごとに“村”をつくり、“村長”を選出するという。越冬生活について初めて越冬に成功した女性隊員のひとり、坂野井和代さん(40)が語ってくれた。
「南極での越冬生活は“社会をつくって暮らすこと”。この単純で当たり前な事実を、これほど強く意識して生活することは日本ではなかったと思います」
どんなに嫌なことがあっても、気に食わない人間がいても、南極にいる間は基地から逃げ出すことはできない。だからこそ人間関係は極めて大切だ。
続いて2006年に夏隊員として参加した大熊満代さん(42)は、南極でかけがえのない体験ができたと話す。
「夏の隊員と越冬の人を含めて80人くらいが共同生活をしました。そこで感じたのは、集団生活の力のすごさ。一般の営利企業だと駆け引きとかがありますけど、それがまったくない。職業も年齢も性別も関係ない。言葉でいうときれいごとに聞こえるかもしれませんが、思いやりが大切だと実感できるんですね」
“村”の絆を深めるために、基地では年中行事を大切にしている。4月には娯楽係が造花や紙に描いた桜の景色を用意してお花見。8月には盆踊り、12月にはクリスマスをする。毎月の隊員の誕生会も欠かさない。こうしたイベントでは、男性隊員が女装してはしゃぐことも珍しくない。2000年と2006年の2回越冬した岩野祥子さん(36)もこういう。
「ちゃんとメイクの道具もあるし、チャイナドレスとかナースの服なんかもあるんですよ」
ふざけているように見えるが、こうして観測隊員たちは自分のなかの“壁”を壊し、ありのままの自分をさらけだして、お互いが心から信頼し合える“家族”になっていくのだ。
2006年と2007年に連続で観測隊に参加した中川綾さん(33)も次のように話してくれた。
「南極ではその分野のプロとして扱われるので、男女区別なく接してくれます。セクハラみたいなことは一切ありませんでした」
※女性セブン2011年11月17日号