〈多大なご迷惑をおかけしたことについて、中日球団ならびに幹部ご本人にお詫びを申し上げます〉
10月29日付のデイリースポーツが、こんな謝罪文を掲載した。謝罪の理由は、中日が優勝を決めた翌日の10月19日付の紙面にあった。曰く、9月6日の巨人戦に敗れて首位・ヤクルトと4.5差に開いた一戦で、
〈坂井球団社長が、なんとガッツポーズを繰り出した。複数の球団関係者がその光景を目にし、すぐさまチーム内に広まった〉
というのである。同じ紙面では「ウチがひとつにまとまったのは、あのガッツポーズからだよ」という落合博満監督(57)のコメントも掲載した。
このガッツポーズのエピソードを書いたのはデイリーだけではない。日刊スポーツやスポーツニッポンは坂井社長の名前は伏せているものの落合監督の手記や対談の中で同じ内容のことに触れている。
東京スポーツに至っては、デイリー同様、坂井球団社長の名前を挙げている。にもかかわらず、なぜか中日新聞はデイリーに対してだけ抗議したのだ。中日ドラゴンズの佐藤良平球団代表は、
「(デイリーに対する)抗議はあくまでも個人の名誉を著しく傷つけたルール違反の報道に対するものです。監督の手記と対談に対して今のところ抗議は考えておりません」
と語るのみでどこか要領を得ない。中日新聞関係者が真相を明かす。
「坂井氏は中日新聞の常務で、エリート中のエリート。人望もあり、自分のチームが敗戦した時にガッツポーズするなんて考えられない。それで、同じ経済部出身の球団代表が激怒したんです。日刊とスポニチは名前を出していなかったから黙認することにした。東スポは抗議してもねぇ(苦笑)」
※週刊ポスト2011年11月18日号