いまから10年程前。芸能人や財界人の隠れ家として有名な六本木のバー「A」のオープニング・パーティが盛大に開かれた。集まった著名人は元祖トレンディ俳優Kや売り出し中の人気俳優I、巨人、ヤクルトなどのプロ野球選手らがいた。さらには財界からは、100億円の裏金の大半をギャンブルに注ぎ込んだ可能性がある井川意高(もとたか)・大王製紙前会長の姿もあった。同店の常連客が話す。
「Aは安く飲ませたり、なかにはお小遣いをあげたりすることで、女優の卵やタレント、モデルなどの美女を集め、金持ちの男性客に彼女らを紹介するシステムだった。『A』のオープニングを手伝い、初代ママといわれているのが芸能界出身の女性B。井川さんは Bから複数の女性を紹介されるなど、仲が良かった」
『週刊文春』の報道によると、井川氏はB氏と親しい関係になり、“美人局”でハメられて数億円をムシリ取られたとされる。
「私もBを紹介されたことがある。彼女のウリ文句は『元おニャン子クラブの会員番号●番』という経歴だった。目を引く美人で、ミュージシャンや有名プロ野球選手、中堅不動産会社の社長などと浮き名を流した。井川氏とも親しく、私は男女の関係だと思っていた。美人局の噂? 確かに聞いたことはあるが、真相はわからない」(同店の客だった企業経営者)
一方の井川氏も、これまで元グラビアアイドルKや女優Fとの交際が噂された艶福家で、女性との交友関係はとにかく派手。
「井川氏は酔っぱらうと、“カネを出してあげるから飲食店のオーナーになりなよ。その代わり、イイ女を紹介してよ”とあちこちに声をかけていた」(井川氏の友人)といい、井川氏がオンナに引っかけられたという話は“さもありなん”と周囲で語られた。
本誌は、「元おニャン子で美人局」と噂されたB氏に電話で直撃することができた。
「井川さんが親しい友人だったことは事実です。『A』の店内でも会ったことはあると思う。ただ、今は連絡を取っていません。美人局をしてお金を取ったという報道や井川氏のカジノ蕩尽に関わったというのは事実無根です。『週刊文春』は私に取材もしていません。おニャン子クラブのメンバーだったという話も本当ではありません」
真実は何か。ギャンブルを地でいく騙し合い、化かし合いの世界に「紙の王子」はハマっていたようだ。
※週刊ポスト2011年11月18日号