今年のドラフトは東海大・菅野智之や東洋大・藤岡貴裕といったドラフト1位に逸材が多かったが、どっこい、下位にも有力選手が多かったと語るのは“流しのブルペンキャッチャー”とも呼ばれるスポーツジャーナリストの安倍昌彦氏だ。
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2011年のドラフトは、サプライズの多い1日となった。日ハムは7巡目に誰もがノーマークの早稲田大学ソフトボール部捕手・大嶋匠を指名。小学校で軟式野球をやっていた大嶋は中学からソフトボールに転向。今季の大学リーグ戦では13試合連続本塁打を記録した大物スラッガーだ。
硬式野球の経験が一度もない異色の経歴に加え、あんこ型の愛くるしい体格。卒論のテーマは「野球とソフトバールのバッティングの比較」。
話題性はあっても硬式用のグラブはなく、現在はキャッチボール程度の練習しか行なっていない。ただ、実力は未知数ながらこう意気ごむ。
「いつかは(大学のひとつ先輩である)斎藤佑樹さんとバッテリーを組みたい」
中日は6位で韓国人投手の宋相勲(韓国・信一高)を指名。彼は福井工大福井高(福井)に2年間通っていた大型右腕だ。8月に韓国・LGからドラフト指名を受けるも、それを拒否して日本球界入りを切望した。球団は、外国人枠が取り払われる3年後までじっくり育成する方針だという。
ドラフト3日前の登板によって一躍名を上げた選手もいる。JR東日本東北の森内寿春だ。森内は都市対抗の1回戦で54年ぶりとなる完全試合を達成。来年27歳になる年齢がネックになって、指名を躊躇する球団が多かった。しかし都市対抗でのピッチングを見て日ハムが5位で指名した。
シーズンが始まれば、過去の実績は意味をなさない。上位指名選手以上に実績を上げ、下克上を達成する者がこの中から生まれても何らおかしくない。
※週刊ポスト2011年11月18日号