夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回の報告は、ご主人(36歳)が都市銀行に勤務の奥様(38歳)。9歳の娘さんがいます。
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5歳の幼稚園児だった時の娘の一言で、私は育児や家事から解放され、すべて夫の役目になりました。それまでの夫は「仕事で疲れているから」と、家では何も手伝ってくれなかったんですが、娘の「私、大きくなったらパパと結婚する!」という言葉に異常なほど反応したんです。
女の子って小さい時は誰でもそうなのに、「パパのことをそんなに好きとは」と、お風呂も「ひとりでゆっくり入りたい」といっていたのに「パパと入ろう!」、料理も「パパが作ったんだ。美味しいだろ?」、洗濯も「パパがきれいにお洋服を洗ってあげたからね」。
おかげで私は大助かりなんですが、娘は最近、パパの溺愛ぶりがうっとうしくなってきているようなんです。「ママ、私、本当は同じクラスのK太くんと結婚したいの。パパに話してもいい?」「ちょ、ちょっと待って! そんなことを聞いたら、パパ、悲しくなっちゃうわよ」必死で止める私。せっかく、家事から解放されて楽をしているのに、冗談じゃありません。
夫はというと、娘の気持ちの変化に気付かず、「パパのこと大好きなんだからチューして!」今日も帰宅すると、娘にキスをおねだり、顔をそむける娘に「もォ、恥ずかしがっちゃって」迷惑そうな眼差しで私に訴えかける娘に、「ガマンして」と目で訴え返す私です。
※週刊ポスト2011年11月18日号