若者のマナーが良くなっている、という声を聞くが、「あまりに過剰だ、エッ!」と異議を唱えるのはビューティフル・社畜・ライフ・コンサルタントで編集者の中川淳一郎氏だ。同氏は最近「エレベーターの乗り方」に違和感を覚えているのだという。以下、中川氏の解説だ。
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清水ミチコが、若者のエレベーターでのマナーについて、違和感を覚えていることを12日のブログで報告している。それは、エレベーターを降りる時に若者が「どうぞ」とばかりに手を差し出し合図をし、清水を先に降ろそうとしてくれることについてなのだが、清水はこう書いている。
「あれ、やめてくれんかな。あ・うんの呼吸でいいじゃん、放っときましょうよって思うだけど。『今日もまっ先に私から降りたわ!わーい!』って思えないし、急ぐ人は先に降りるだろうし」
そうなのである。オレもあれ、やめて欲しいのである。オレももう38歳の古くなったオッサンなのだが、仕事相手の若者たちと一緒にエレベーターに乗ると、まず乗る時、「なんとしても私に乗降ボタンを押させて下さい!」とばかりに若者はボタンに向かって速足で歩いて行く。
そして、ボタンを無事押せ、エレベーターがやってきたところで、若者は「お先に失礼します」と言ってエレベーター内部に入り、階数ボタン前を確保する。あるいは、ドアを手で押さえて「どうぞ」と清水が言うところの「合図」をして年寄りを先に入るようにする。
必然的にオレのような年寄りはエレベーターの奥へ行くことになるのだが、その後若者が5人ほど入ってくる。で、目的の階に到着したところで全員降りなくてはいけないのだが、ドア付近にいる若者が降りないのである!
【エレベーターにも「上座」「下座」の概念が存在する】
やや脇にずれ「花道」のようなものを作ってくれ、「どうぞ」とこちらを見て言うので、「す、すいません」なんてペコペコしながら一番に降りるのだが、毎度この「あなたに配慮しています感アピール」というか「過剰マナー遵守」には困惑してしまう。ドアに近い者からさっさと降りてしまえばエレベーターに残った人だってイライラしないし、余計な気を全員が使う必要がなくなるのにな…。
宴会で「上座」「下座」があるのは分かるが、どうやらエレベーターにもこの概念は当てはまるらしい。そして、「エラい人(ないしは年長者)を先に入れ、先に降ろす」ことがマナーとなっているようなのだ。なんともバカげているし、無意味である。
別にこちらは若者が先に降りたからといって腹も立たないし、失礼だとも感じない。そもそも「エレベーターに乗る順番」が「マナー」になる意味がまったく分からない。
だが、過去、若者が先に入った時に「こらっ! 若僧が先に入るんじゃない! タナカ部長が先だろ! 失礼だろ! お前は非常識だ!」などと金切り声をあげたことのあるヤマダ営業課長補佐代理主任(39)みたいなバカが全国にたくさんいたのかもしれない。そして、こいつらが新入社員教育マニュアルに「エレベーターニノルトキハ、ネンジノヒクイモノハボタンヲソッセンシテ押シ、ネンジノタカイモノガハイッタノヲカクニンシテカラノルベシ」なんて書いたのかもしれない。
これがいま、日本に蔓延する「若者はエレベーターに先に乗ってはいけない、降りる時は最後にしろ」ルールを押しつけた連中なのだとすれば、そういったクソオッサンどもは「一生エレベーターに乗らず階段で歩く(エスカレーターは許してやる)」の刑を科すべきである。
若者は過剰マナーに委縮してるぞ。今度「名刺」にまつわる過剰マナーについて報告するからな!