ライフ

3~4才からのピアノの稽古で子供の“脳力”は格段にアップする

子供のうちに能力を開かせようと、子供に様々な習い事をさせる親は多いが、“脳によい”子供の習い事があるという。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でおなじみの脳科学者・澤口俊之氏が解説する。

* * *
才能を見つけてやりたいとか、特技を持たせたいという親の願いからか、子供に習い事をさせている親は70%もいるそうです。

私も、「脳によい子供の習い事は何ですか?」という質問をよく受けます。その答えはズバリ、「ピアノのお稽古」です。その理由を話す前に、脳と習い事の関係についてお話しさせてください。

脳の発達からみると、新しいことを学ぶとか、刺激を受けるなどの進化的な行為や環境は、子供の脳の発達にプラスに働きます。

例えば、人間の脳は、誕生直後からお母さんの声に強い反応を示します。これは、聴覚を利用した音声言語(話し言葉)が、新生児にとって進化的な環境や行為になっているからです。

だからお母さんからの語りかけが多い子供ほど脳の発達はよくなります。とくに2才ごろまでが重要で、この時期にお母さんからどの程度語りかけられたかで、その後の知的能力や社会的能力の発達に大きな差が出てきます。

さて、ピアノに話を戻しましょう。音楽は音声言語に匹敵するほど脳の発達に影響を与えるものです。音楽を聴いたり楽器を演奏したりすることは進化的な環境・行為になります。楽器の稽古はいわば「進化的な習い事」なのです。そのため、言葉を聞いたり話したりすることで脳がよく発達するように、幼少期の楽器稽古は脳の発達を促します。

ですが、楽器演奏がよいといっても、どんな楽器でもよいわけではないようです。この点がはっきりしないのは楽器演奏に関する研究の場合、ピアノ演奏を扱うことが多いせいです。例えば、バイオリンがいいという説もあるようですが、バイオリン演奏と脳の発達に関するきちんとした研究は皆無に等しいといってよいでしょう。鍵盤ハーモニカに関しては、私自身が調査しましたが、脳の発達を促すという明確な効果は認められませんでした。

けれど、ピアノの場合には、両手を複雑に使うという要素があるため、この点だけでも脳の発達によい影響を与えることは予測できます。なぜなら両手の指の運動に関係する脳領域の代表は「補足運動野」という場所で、前頭前野とかなり強い神経連絡があります。

この連載で何度もお話ししているように、前頭前野は、知的能力や社会性など、ヒトに特有の活動の中心を担っている脳領域です。両手を複雑に使うことで、補足運動野が刺激され、さらに前頭前野を刺激するのですから、ピアノの練習は脳の発達を促すと明確にいえるのです。

※女性セブン2011年11月24日号

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン