年間3万人が自ら命を絶つ日本において、孤独に悩む人々の相談を聞き続けてきたの『いのちの電話』。たった4台の電話からスタートし、設立から40年経った現在では全国50か所にセンターを構え、その多くは365日24時間態勢で、7500人のボランティア相談員が電話を取っている。
多くの自殺志願者を救ってきた『いのちの電話』だが、日本中を恐怖に陥れた東日本大震災の発生を受け、震災ダイヤルを立ち上げた。直後は「食料がない」「住む家がない」との悩みが多かったが、半年後の9月に実施された専用ダイヤルでは、より過酷な悩みが増えた。設立から40年『いのちの電話』に携わってきた、日本いのちの電話連盟理事の斎藤友紀雄さん(75)はこう話す。
「地震や津波で家族を失った人たちの喪失感が大きく、より深刻化してきています。3月には自殺者が減りましたが、4月から増え始め、5、6月は福島では自殺が前年比2割も増えました。被災地だけでなく、全国で増えています。日本中に広がる絶望による、自殺の連鎖でしょう。日本全体が東北の痛みを共有しています。医療関係者は治療をし、臨床心理士や看護師などが自殺予防のケアをしていく。長い支援が必要になると思います」
現代の孤独や喪失感をすくいとってやってきた40年。『いのちの電話』が必要でなくなる日は、まだまだ遠い。
※女性セブン2011年11月24日号