久々の勝利に、思わず涙がこぼれた。女子ゴルフの日米両ツアーを兼ねる「ミズノクラシック」で2年ぶりにツアー優勝を挙げた上田桃子(25)である。
2007年に賞金女王となった上田だが、近年、成績は下降線を辿り続け、今季もトップ10入りはなし。賞金ランクも52位に低迷していた。
「最近は、母親に対して“やめたい”と漏らすほど悩んでいた。昨年の決断が本当に良かったのか、という迷いもあったのでしょう」(スポーツ紙記者)
昨年5月、上田は自身のブログで、「江連忠ゴルフアカデミー」からの卒業を発表。トッププロと超一流コーチの突然の“別離”は様々な憶測を呼んだ。中でも有力とされたのは、「上田が“顧問料”を払っているにもかかわらず、江連氏が同じ門下生の諸見里しのぶばかりを教えていることに反発した」というものだった(当時の本誌の取材に江連氏側は否定)。
上田は高校生の時、自ら江連アカデミーの門を叩いたほどの“江連信者”だった。江連氏との訣別後に、さらに成績が低迷したとなれば、上田が悩むのも無理はないだろう。しかし周囲は、この決断が「プラスに働いている」と見ている。
「これまで上田は江連氏以外の話をほとんど聞こうとしなかったが、卒業してからは変わった。岡本綾子に教えを乞うたり、外国人コーチの指導を受けるなど、色々な意見を聞くようになった。
10月にも、上田が男子ツアー『マイナビABCチャンピオンシップ』にいきなり現われて、谷口徹に“一緒にラウンドして指導を仰ぎたい”と頭を下げた。谷口も意気に感じて、 わざわざ翌週に三重の『ミズノ』の会場まで出向き、丁寧に指導した。その際、谷口は“格好をつけるな”とアドバイスしたそうです」(ゴルフ誌記者)
かつては転がすアプローチを嫌悪し、ボールを上げることを重視するなど、「プロは魅せるプレーが必要」との信条を持っていた上田。だが、こうした周囲の人々の指導の結果か、“泥臭い”ゴルフを実践し、久々の勝利を掴んだ。
※週刊ポスト2011年11月25日号