大前研一氏は先日、『「福島第一原発事故から何を学ぶか」中間報告』を細野豪志原発事故収束・再発防止担当相に提出し、福島原発事故は「天災」でなく「人災」だったと結論づけた。そして、「何が起きても電源と冷却源を確保できる」多重的・多様的な安全対策を施した原発が必要だと指摘する。以下は、大前氏の解説である。
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今後、日本は原発をどうすべきなのか?
いま停止している原発、これから定期検査で停止する原発は、「何が起きても電源と冷却源を確保できる安全対策」を施した上で、地元住民の合意を得られたものから再稼働する。
それが現実的な選択肢だと思う。
ただし、もう新たな原発は建設できないだろう。スリーマイル島原発事故後のアメリカは1基も新設できていないし、チェルノブイリ原発事故後のヨーロッパもフランスを除き同様だ。既存の原子炉の延命も今後は難しいので、寿命が来る30年後に日本の原発はゼロになると考えねばならない。
※週刊ポスト2011年11月25日号