ライフ

1901年生まれランナー 90代で寝たきり経験後、日本記録連発

長寿の人に何かの共通点はあるのか――年齢を感じさせない若さを保っている100歳前後の“超高齢者”の場合、その脳のMRI画像はいずれも、若さの種類に応じた脳番地(※)が発達している、と医学博士の加藤俊徳氏は話す。

例えば、100歳を超えてもなお現役のランナーとして数々の大会に出場していた大宮良平さん(1901年生まれ)。70歳でランニングを始め、90代後半でいったん、病気のためにほぼ寝たきり状態になり、介護が必要になった。

しかし、その後再び走り始め、100歳を超えてからもシニア向けの陸上競技大会に出場し、100歳クラスの100メートル、200メートル、400メートル、800メートルの日本記録を持っていた。加藤氏がこの大宮さんの脳のMRI画像を見ると、体を動かす運動系脳番地の中でも、特に足の脳番地が非常に発達していた。

6歳から三味線を始め、100歳を超えるまで弾き続けた佐藤ぎんさん(1903年生まれ)の脳は、左脳にある右腕の脳番地が大きく発達していた。90年以上にわたって右手で撥を弾き続けたからだと思われる。

93歳で俳句を習い始め、103歳の時に俳句集を出版した三沢たきさん(1901年生まれ)の脳は、思考系脳番地が大きく発達していた。

「この他にも、ある落語家の場合、聴覚系脳番地が一般の人の2倍程度発達していました。師匠が演じるのを聴いて古典落語を覚えるというのですが、そのチャンスはひとつのネタについてほんの2、3回しかないので、神経を集中させ、それこそ耳をそばだてるようにして聴き入るからだと思います。

また、あるレーサーの場合、高度な動体視力が要求されるので、視覚系脳番地が非常に発達していました。こうした例が示すように、何歳になっても体や頭を使い続けていると、それに対応した脳番地が発達し、その枝ぶり(白質)が成長し、立派な状態を保ち続けることがわかったのです」(加藤氏)

※脳番地/「ごく簡単にいうと、脳の機能によって使われる脳の場所は異なります。そこで、脳全体をそれぞれの機能ごとに120に区分し、それぞれに数字や記号を割り当てたのが脳番地です。大まかには“考える”(思考系脳番地)、“感じる”(感情系脳番地)、“話す”(伝達系脳番地)、“体を動かす”(運動系脳番地)、“理解する”(理解系脳番地)、“聞く”(聴覚系脳番地)、“目で見る”(視覚系脳番地)、“覚える”(記憶系脳番地)の8つに分けられます。例えば、右手と左手とで器用さが異なるのは、右手を動かす脳番地と左手を動かす脳番地が異なり、それぞれの発達具合が異なるからです」(加藤氏)

※週刊ポスト2011年11月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン