『めざましテレビ』(フジテレビ系)の大塚範一キャスターが白血病で闘病生活に入った。白血病は「血液のがん」と呼ばれ、以前は死に至る病とされていた。現在は医療技術の進歩によって治癒することも可能になっているが、5年生存率は約25~40%と厳しい病であることは変わりない。
血液のがんといわれる所以は、血液をつくる造血細胞ががん化して、骨髄で異常に増殖することにある。その結果、正常な血液細胞が減少し、がん化した白血病細胞が血液中にまであふれてくる。進行の速さによって急性と慢性に分かれるが、「急性」の方が症状は重いとされる。
さらに、数種類ある血液細胞のうちどれががん化するかによっても分類され、「リンパ性」と「骨髄性」に分けられる。大塚さんの白血病は、このうちの「急性リンパ性白血病」である。医学博士で医療ジャーナリストの森田豊氏がいう。
「リンパ性と骨髄性の患者の比率は1対9で、骨髄性のほうが多い。リンパ性白血病は小児に多い病気ですが、大人でも生じます」
白血病に共通する特徴は、初期症状がほとんどないこと。大塚さんの場合、首のリンパ節の腫れが気になって病院を受診し、血液検査で白血病であることが判明したが、こうしたケースは稀だと前出・森田氏。
「風邪などの感染症にかかりやすく、治りにくい。鼻や歯肉から出血したり、あざなどができやすくなる――。こうした症状が起こる場合もたしかにありますが、非常にわかりにくい。鼻血が出て『白血病か?』と思う人なんてほとんどいませんからね。無症状のまま、血液検査で偶然発見されるケースも多い」
治療は抗がん剤の投与による化学治療が基本だ。
「白血病の抗がん剤は種類が多い。どの抗がん剤が有効か目星をつけ、数種類の抗がん剤を同時に点滴、注射、経口などで投与していくことになります」(虎の門病院血液内科・谷口修一部長)
こうした治療によって、7~8割の患者は、数週間後には一時的に検査数値が正常に戻り、骨髄や血液中に白血病細胞が見えない状態になるが、これで完治したわけではない。体内にはまだ白血病細胞が残っているため、再発を防ぐために、さらに抗がん剤治療を続けなければならない。
※週刊ポスト2011年11月25日号