認知症のうち最多の約6割を占めるのが、アルツハイマー型の認知症だ。アルツハイマー型がどのように発症するかは解明されていないが、最近は、βアミロイドというたんぱく質が脳内に蓄積することで、脳内の神経細胞が衰えて発症する説が有力だ。順天堂大学・加齢制御医学講座教授の白澤卓二さんはこう話す。
「βアミロイドの蓄積を抑えるには、野菜などの抗酸化作用の強い食材を摂ることが最も効果的。というのも、βアミロイドは活性酸素がたんぱく質に作用することで発生すると考えられていますが、抗酸化作用の強い食材はその活性酸素を除去する働きがあるからです」
認知症予防にいいとされるのは、野菜だけではない。例えば、鶏胸肉にも活性酸素を抑える成分が含まれている。
以下に紹介する10の食材は、抗酸化力が高い野菜や、その他、認知症予防に効果的とされる肉や魚など。意識的に食べるようにすることで、脳が元気に保たれるようになる!
■かぼちゃ
βカロテンのほか、抗酸化作用のあるビタミンC・E、腸内環境を整える食物繊維などが多く含まれる。これらの栄養素が免疫力も高め、病気にかかりにくい体をつくる。
■にんじん
便利な栄養素βカロテンが豊富。βカロテンは、体内でビタミンAが足りなくなったときに、ビタミンAに変化し、抗酸化作用を発揮する。またビタミンAと違い、熱にも強い。
■アボカド
アルツハイマー病のリスクを下げることが確認されているビタミンEだけでなく、コレステロール値を下げる不飽和脂肪酸も豊富。
■納豆
納豆に含まれるムチンは血糖値の上昇を抑え、老化を招くインシュリンの分泌を防ぐ。血液をサラサラにするナットウキナーゼという成分は脳梗塞の予防にも。
■鶏胸肉
鶏肉のうち胸部分にだけ多く含まれるカルノシンには、活性酸素を除去する抗酸化作用が。また、疲労時に体にたまる乳酸を中和する働きも。
■トマト
注目すべき栄養素は体内の活性酸素を取り除いてくれるリコピン。血液をサラサラにする効果もあり、脳血管が詰まることで発生するタイプの認知症予防に◎。
■ウコン
クルクミンというポリフェノールの一種が豊富。インド人のアルツハイマー病の発症率はアメリカ人の4分の1。これは、認知症予防に効果があるクルクミンをよく食べているからと考えられている。
■ブロッコリー
ファイトケミカルと呼ばれる、抗酸化作用のある植物成分を200種以上含む。ファイトケミカルは発がん性物質の発生も防ぐといわれている。
■もやし
もやしなどの新芽野菜にたくさん含まれるスルフォラファンというファイトケミカルは、抗酸化作用が強い。有害物質を体の外に排出する解毒作用を高める効果も持つ。
■青魚
あじやさばなどの青魚に多く含まれるDHAという脂質には、血栓を溶かす働きが。マウス実験では、DHAがアルツハイマー病の予防に効くという研究結果も得られている。
※女性セブン2011年12月1日号