日本シリーズをよそに、ベンチ裏ではコーチになりたいOBたちの動きが活発化している。その背景には、球界が「OB至上主義」から「人脈至上主義」にシフトしていることがある。
「かつては現役時代を過ごした古巣にコーチとして帰ってくるのが普通でした。でも今は全然違う。とにかく、監督やフロントとの人脈、縁故が物をいう」(スポーツ紙デスク)
既に決まった人事からもその傾向が見て取れる。西武を昨年7月、鉄拳制裁疑惑で追われた大久保博元氏が、なぜか楽天の打撃コーチに就任した。ここには西武OBとして親交のある田淵幸一ヘッドコーチがいる。
「当初、関係者の間では、“裁判を抱えているのになぜ?”という話になったが、10月19日、大久保氏が東京地裁に対して、処分無効の請求を放棄する旨申し出たとの報道が出て納得した」(スポーツジャーナリスト)
OB重視といわれてきた巨人でも異変が起きている。来季の新スタッフに橋上秀樹・一軍戦略コーチ、秦真司・一軍バッテリーコーチという“外様”、さらには阿波野秀幸氏の二軍投手コーチとしての古巣復帰が発表された。
「野村克也監督のヤクルト黄金時代の主力だった橋上氏と秦氏が入閣したのは、二軍バッテリーコーチの野村克則氏の存在が大きいといわれている。亜細亜大出身の阿波野氏を復帰させたのは、来年のドラフトで目玉となる同大の東浜巨投手の獲得作戦の一環と囁かれています」(巨人担当記者)
※週刊ポスト2011年11月25日号