軽症から中等度のうつ病は抗うつ剤など薬物で治療する。しかし、薬物でも症状が改善しない、あるいは再発を繰り返す重症のうつ病に対しては修正型電気けいれん療法(m-ETC)が導入されている。
頭に電流を流して、てんかん様のけいれんを起こすことで治療する。麻酔科と連携し、事前に麻酔薬と筋弛緩剤を投与することで、骨折や呼吸停止などを予防しつつ効果を上げている。
国内の自殺者は13年連続で年間3万人を超えている。自殺の背景として、うつ病をはじめとする精神疾患の関連が指摘されている。現在100万人以上とされるうつ病患者に加え、未治療患者も相当数いると類推され、治療せず放置すれば症状が進行し、さらに自殺が増える危険性もあり、大きな問題になっている。
うつ病の治療は、抗うつ剤など薬物を中心に行なわれている。しかし、薬物が効かないか、一時的に効いても再発を繰り返す難治性重症うつ病患者に対しては、70年以上前から電気けいれん療法(ECT)が効果を上げてきた。JR東京総合病院メンタルヘルス・精神科の村木健郎部長に話を聞いた。
「この治療は、中高年の中等度から重症の難治性うつ病が対象です。70~80%が治療効果を得られ、寛解率は60歳以下が54.6%に対して、60~74歳では、73.2%と高くなっています。若い人の場合、パーソナリティ障害など他の精神疾患を併発していることも多く、効果が得られないこともあります」
(取材/構成・岩城レイ子)
※週刊ポスト2011年11月25日号