肩や首のこり、手足のしびれや痛みなど、ちょっとした体調不良は、ついつい放ってしまいがちだ。しかし、そんな小さな不調が大病の前兆だったというケースも珍しくない。
「昨年のこと。65才になる夫のしゃっくりが止まらなくなったんです。最初は、ビールを飲んで、夕食後すぐにお風呂にはいったからよ、と私も気にも留めませんでした。でも夜眠るまでヒックヒックと続いて、朝起きてからも、止まっては始まる、の繰り返し。まさか、あれが前兆だったなんて…」
そう振り返るのは、Fさん(58才、主婦)だ。最初は「子供みたいね」と笑っていたのだが、さすがに10日も続くと尋常ではない。水を飲んだり、背中を叩いたり、と民間でいわれるありとあらゆる方法を試したが、止まらない。自分も苦しいとあって、夫は内科を受診した。
喉や内臓には異常なし。しかし、血圧が高く様子がおかしいという。紹介状をもらって市民病院に行き、CT検査をしてみると、脳梗塞が見つかった。
「脳梗塞によって脳の呼吸中枢が阻害され、しゃっくりが出ていたそうです。発見がもう少し遅れて症状が出ていたら、手遅れだったといわれました」(Fさん)
北原ライフサポートクリニック院長の菅原道仁さんは、脳梗塞の症状についてこう説明する。
「よく知られているように、脳梗塞は脳の血管に血栓が詰まって血流を止め、脳細胞が壊死する病気で、同様に血栓が心臓の冠状動脈に詰まると心筋梗塞となります。60 才以上の中高年に多く、発見が遅ければ死亡、助かってもまひや言語障害などの後遺症が残ることもあります。
脳梗塞の症状は、手足に力がはいらない、重いめまいがする、ろれつが回らない、言葉が一瞬出てこない、など。しゃっくりは横隔膜の痙攣が原因で起こるため、脳梗塞だけでなく、内臓の病気の可能性もあります」
※女性セブン2011年12月1日号