政治家の「オフレコ懇談」は隠微な世界である。仲良し記者クラブの番記者だけを相手に、普段はいわない本音や政敵の悪口を放言することも少なくない。
ただし、オフレコとはいっても発言はすべて「オフ懇メモ」として各紙の幹部に回覧され、時にはライバル政治家にご注進されることもある。政治家もベテランになればそうした内情をよく知っていて、わざと相手を挑発してみたり、間違った情報を流して政界やマスコミの反応を探ったりすることもある。
民主党政権は、そもそも番記者がつくような立場を経験したことのない野党暮らしの政治家、まだまだ陣笠の議員ばかりだったため、このオフ懇の使い方がよくわかっていない。鉢呂吉雄・前経産相が「放射能発言」で辞任に追い込まれたのも、記者クラブの悪意があったにせよ、本人の油断も原因だろう。
そんな未熟議員の集団だから、当然、暴言・放言がポンポン飛び出す。菅政権では、蓮舫氏が「オフレコ番長」として有名で、派閥の親分である仙谷由人氏を平気で「仙チャン」呼ばわりしたり、同僚議員に厳しい月旦評を浴びせたりと、記者やデスクをよく楽しませたものだ。野田内閣でも行政刷新相を務めているが、何に懲りたのか、最近ではオフレコ放談がほとんどないことが残念である。
が、野田政権全体ではどうなったかというと、ますます閣僚や党幹部が軽量化したこともあり、実はタガが緩みっぱなしなのである。
※週刊ポスト2011年11月25日号