夜になってグッと空気が冷え込むなかでも、2人のまわりには暖かい時間が流れているようだった。
都内のとあるバーで、北欧系の顔だちをした赤毛で、目を奪われるほどの巨乳の美女と、高級ブランドに身を包んだ男性がお酒を楽しんでいた。女性は身長165cmを超え、男性は180cm近くある。まさに美男美女――。
その男性、大王製紙前会長の井川意高氏。“ティッシュ王子”などともネット上では呼ばれるが、9月16日にグループ企業から無担保で84億円にのぼる個人名義の借り入れを行なっていたとして、辞任に追い込まれた御仁である。
その後、借入額が106億円にのぼり、マカオのカジノなどで使われたことも発覚。ワイドショーなどでも取り上げられる大問題に発展し、その顔はもはや“全国区”だが、意高氏には周囲の目をはばかるような様子は微塵もなかった。
9月25日夜には、冒頭の美女を伴って、麻生太郎元総理の甥、巌氏の結婚披露宴に出席。その場で出会った知人たちに彼女を紹介し、その際、辞任劇についても「あれはクーデター。何の問題もありません」と平然といって回っていたという。まさに世間の批判などどこ吹く風である。
この女性との関係について、意高氏の行きつけのバーの常連客がいう。
「女性は、見た目は完全に外国人ですが、実際にはフランス人と日本人のハーフ。日本語はペラペラで、性格も日本女性そのもの。飲んでいても、いつも意高氏を立てている。意高さんのところには、お金目当ての女の子が親しくなろうとして近寄ってくることがよくあるのですが、いちいち文句をいったりしない。
ただ、意高さんが高くておいしい店に連れていっているからでしょうが、飲み物や食べ物にうるさい。特にオレンジジュースのこだわりがすごくて、『このオレンジはどこ産?』とバーテンダーに聞いていた」
この彼女、周囲では「クラブ歌手をしている」といわれているが、どれほど調べても活動歴はわからず、趣味程度の話なのかもしれない。それにしても、問題発覚後も、美女を連れて飲み歩く意高氏。大王製紙が借り入れた106億円のうち、約60億円は未返済とされ、後述するが氏には他にも明らかになっていない莫大な借金があると見られる。
とても女性とのデートで散財している場合ではないはずだが、逢瀬を楽しむ姿からは、そんなことは全く意に介していないように見えた。しかし、そんな彼のもとに、捜査の手は確実に迫っている。
「大阪地検事件で、その威信が地に落ちた特捜部は、10月1日から経済事件重視の新体制を敷いている。その第一号として、大王製紙の事件はうってつけだ。大企業で、東大法学部卒の3代目と、被疑者に華がある。
そのうえ会社が全面協力してくれるので、事件構図が立てやすい。だから東京地検の幹部はこれを『リハビリ案件』と呼んでいた」(検察担当記者)
※週刊ポスト2011年12月2日号