11月9日、最後の出社日に「長年の恨み」と50歳の社長を殴った62歳の会社員がいた。ネット上では「気持はわかる。気持ちはわかるぞおおお だが暴力はいかん」などと同情と理解と自戒を求める声が多数書きこまれた。この会社員A氏は、いったい社長のB氏との間に何があってそこまでの行動に駆られたのか。ある社員から証言を得た。
「夕方、倉庫で社長とAさんが仕分け作業を2人きりでやっていて、突然、『アホ』とか『ボケ』とかAさんの罵る声が響いてきた。何がきっかけだったのかもわかりません」
時刻は午後4時10分頃。退職の当日だったA氏にとっては、まさにサラリーマンとして最後の仕事だったはずだ。ところがそこで、何かをきっかけにしてA氏は声を荒らげた。
「お前、調子に乗っとるんやないか。偉そうやないか」
A氏はそう吐き捨てると、B社長に殴りかかった。顔面の左右に1発ずつと、腹部に1発、計3発を社長にお見舞いしたのだ。
社員は続ける。
「びっくりして何人かが倉庫へ行くと、興奮したAさんが素手で社長を殴ったところで、社員2~3人でAさんを引き離してなだめていました。社長はそんなに大きなケガをしてる様子ではなかったんですが、口の中をちょっと切ったようで血が出てました。警察に通報したのは、社長本人だと思います」
軽微な事件だったので、A氏はすぐ釈放された。捜査関係者によれば、B社長も被害届を取り下げる可能性があるという。
※週刊ポスト2011年12月2日号