『SUKIYAKI』(坂本九)以来の快挙か――。往年の“ジャパニーズ歌謡曲”が海外のヒットチャートを席巻中だ。
歌手の由紀さおり(63)が米国のジャズ・オーケストラ「ピンク・マルティーニ」とともに、自身の『夜明けのスキャット』を含め、同年に流行した『ブルー・ライト・ヨコハマ』(いしだあゆみ)などをカバーしたアルバム『1969』を世界20か国に配信。すると、瞬く間に米国のiTunesジャズ・チャートで1位を獲得(11月2日付)したのをはじめ、カナダやギリシャなど各国のチャートでも上位にランクイン。発売元のEMI社も驚く大人気だ。
しかし、40年以上を経て、なぜ由紀さおりなのか。
「ピンク・マルティーニとコラボするきっかけは、メンバーのひとりが、『ジャケット写真が美しい』と、たまたま由紀のLPレコードを衝動買いしたことだったそうです」(音楽関係者)
当時のレコードを見てみると、カチっと整えられた髪型の由紀が斜め45度で微笑んでいる。時代も感じるが、確かにオリエンタルで妖艶な雰囲気を醸し出している。
外見だけではない。由紀の美声も折り紙つきだ。
音楽評論家の湯川れい子氏が指摘する。
「彼女の“耳触り”のよい歌声と音程の良さはもともと欧米でも評価が高い。過去にビートルズなど大物が出演したことで知られるロンドンの名高いホールでコンサートをしたときは、スタンディングオベーションが鳴り止まず、地元紙の評価も上々でした」
※週刊ポスト2011年12月2日号