11月の野球界で大きな話題となったのが巨人軍の「お家騒動」だが、主役は渡辺恒雄氏と清武英利氏。実は、巨人には選手内にも「ナベツネ派」と「清武派」が存在する。
宮崎・サンマリンスタジアムでの秋季練習を終えた巨人のチーム内には、清武騒動がもたらした微妙な空気が垂れ込め始めている。
組織のトップの衝突は、派閥抗争の勃発を意味する。自分ではそのつもりがなくとも、「アイツは○○派」と巻き込まれるのは世の常だ。巨人内部でも、ナベツネ派、清武GM派、そして原監督派の色分けが始まった。
では、ナベツネ派は誰か。
「渡辺会長が野球にそこまで詳しくないことから、目立つ生え抜きスター選手が属している。いわば“巨人の本流”です」(スポーツジャーナリスト)
誰もが認めるのは高橋由伸。入団時は「ヤクルト確実」といわれながら巨人を選んだことが寵愛を得るきっかけとなり、近年の成績は振るわないものの「将来の監督候補」のお墨付きは変わっていない。また、阿部慎之助もその1人だ。渡辺氏はその打力に惚れ込み、「メジャーに行きたいといったら(引き留めるために)給料を倍にする」とブチ上げるほど。
「鶴の一声」は選手の運命を左右する。
「意外なところでは矢野謙次もお気に入りの1人。2007年、交流戦のソフトバンク戦を観戦した会長の前で代打逆転満塁本塁打を放った。会長はたいそう上機嫌で“彼はスーパースターだ”、“この本塁打は1000万円の価値がある”とベタ褒め。矢野はその年の契約更改で、本当に1500万円アップをもぎ取った」(巨人担当記者)
渡辺会長はルーキー・沢村拓一の入団時にも「スーパースターになれる。楽しみ」と太鼓判を押した。日テレの女子アナとの結婚もプラス評価の材料か。
※週刊ポスト2011年12月2日号