組織のトップの衝突は、派閥抗争の勃発を意味する。自分ではそのつもりがなくとも、「アイツは○○派」と巻き込まれるのは世の常だ。巨人内部でも、ナベツネ派、清武GM派が存在する。ナベツネ派には、高橋由伸や阿部慎之介といった“生え抜き”の選手が多い。一方の 清武派には“育成選手”や“外様”などが多い。
そもそも清武GMが球団内で発言力を増したのは、2004年の球団代表就任後に自ら率先して導入した「育成制度」で育った松本哲也、山口鉄也らの活躍があってこそ。今季は清武氏のプッシュでドラ1指名(2007年)したといわれる藤村大介のスタメン起用を半ば強引に提案し、藤村は盗塁王のタイトルを獲得した。
清武派のもう一つの特徴は、外様が多く含まれること。トレードやFAでの戦力補強で移籍してきた選手に清武派は多いという。
「ガッツこと小笠原道大が2000本安打を達成したことを機に、世代交代を急ぐ声が現場から高まった。その時に清武GMがフォローしたのは有名な話です。今季途中にロッテから獲得した大村三郎もGMのパイプで入団したといわれている」(前出の記者)
首脳陣では野村克則コーチ。その人脈から入閣したといわれる橋上秀樹、秦真司両コーチも同様だ。ただ、巷で清武派といわれている岡崎郁コーチの立ち位置は意見が分かれる。確かに抜擢したのは清武GMだが、「清武さんと仲良くしているのを見かけたことはほとんどない」(番記者の1人)とも。
生え抜き主力選手の中で珍しく清武派と目されているのが坂本勇人。大森剛スカウトの進言で、外れ1位で獲得(2006年)した若武者の急成長は誰もが認めるところ。
「清武GMの進言でスタメンに定着した。GMが“最大の功績”と胸を張る選手です」(同前)
※週刊ポスト2011年12月2日号