「甘いものは別腹~」なんていってついついスイーツを食べすぎてしまいがち。だが、食べ過ぎには問題があると語るのは『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でおなじみの脳科学者・澤口俊之氏だ。以下、澤口氏の解説だ。
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スイーツに目がないのは、多くの女性に共通のことと思いますが、さて、そのスイーツの、糖分やカロリーは脳や体にどんな影響を与えているのでしょうか? ということをテーマに、今回はお話ししましょう。
私たちはなぜ甘いものを好むのでしょうか? ひとつめの理由は、私たち人類の進化の歴史に関係しています。人類が属する霊長類の食性は、大きく果実食と葉食に分けられます。葉食の典型はゴリラです。人類により近いチンパンジーは果実食です。ですから、甘みのある果実に近いスイーツを人類が好むのは、進化的に当然の流れだといえます。
ふたつめの理由は、「脳」にあります。脳はブドウ糖を主なエネルギー源とし、かつ、カロリーを多く消費します。ですから、スイーツのように甘くて高カロリーの食べ物は、脳をよく使う人類にとって魅力的なものなのです。
ブドウ糖は米などの炭水化物からも作られますが、消化吸収に時間がかかるため、果糖や砂糖から摂取したほうが速く効果を得ることができるという特徴があります。
逆に体内からブドウ糖が減ってしまうと、エネルギー源が少なくなるので、脳の働きが鈍り、イライラして攻撃性が高まることもあります。そんなときに甘いものを補給すると、攻撃性を弱める効果もあるのです。
とはいえ、子供のころからスイーツを食べすぎているといろいろな問題が起こります。
甘いものは、食べると脳内の報酬系が活性化されドーパミン量が増え、快感を得られるため、ついつい多くとってしまいがちです。そして、その行く末は肥満です。
ところが、人は肥満体質になると、報酬系に耐性ができ、活性化しにくくなることがわかっています。そのため肥満の人は、以前と同じような快感を得るために甘いものをより多くとってしまい、その結果、ますます太るという負のスパイラルに陥ります。
この他に、甘いものの食べすぎは、すい臓がんのリスクになるという報告もあります。
さて、ブドウ糖が減っているときに甘いものを食べると攻撃性が低下すると前述しましたが、適量を超えて甘いものをとりすぎると、逆に攻撃性を高めてしまうことも証明されています。糖分のとりすぎに脳が慣れてしまうと、ブドウ糖をとっても脳が活性化されなくなって、イライラが続いてしまい、その結果攻撃的になるのです。子供では甘い飲み物や砂糖のとりすぎで・キレやすくなる・らしいという報告もあります。
また、「甘いものの食べすぎ」の悪影響は、うつ病にも関係していて、スイーツを食べすぎているとうつ病になりやすいという調査報告があります。ただし、果実に含まれる糖分であれば問題ないようです。
※女性セブン2011年12月1日号