白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏によると、アルツハイマー病の発症リスクと学歴には、大きな相関があるという。
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アルツハイマー病は、高齢期における脳の変性疾患で、次第に学習機能や認知機能が低下し、最終的には寝たきり状態に陥り介護が必要となる。「ボケ」をもたらす代表的疾患だ。
アルツハイマー病の早期発見は難しく、脳の変性病変は進行性で未だに治療法が確立されていない。全世界で3390万人と推定されるアルツハイマー病の患者数は、人口の高齢化に伴い40年後には約3倍に増加すると予測されている。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のデボラ・バーネス助教授とクリスティーネ・ヤッフェ教授はアルツハイマー病の発症要因の中には、喫煙など修正可能な危険因子が多数あることに注目、修正可能な7つの因子の影響を減らすことにより、 相当数のアルツハイマー病の発症を予防できると推論した。
バーネス博士らが注目した危険因子は、【1】喫煙、【2】低身体活動、【3】低教育水準、【4】中年期高血圧、【5】糖尿病、【6】中年期肥満、【7】うつの7つの危険因子だった。2010年に米国立衛生研究所が発表した「アルツハイマー病と認知症の危険因子に関する包括的なレビュー」を分析に用いた。
博士らの解析によると、これらの7つの因子が発症に関与していると考えられる患者数は世界レベルで1720万人(全患者数の約50%)。各因子別に見てみると、世界レベルでは低教育水準の影響が最も大きく(650万人)、リスクが倍になる。
一般の発症危険度に比べて、大学卒業以上の高等教育を受けた人は発症危険度が47%、職業的達成度の高い人は44%、IQの高い人は42%、知的好奇心を刺激する趣味をもつ人は50%も低かったのである。
※週刊ポスト2011年12月2日号