震災、不況、円高閉塞感が漂う時代である。「仕事が思い通りにいかない」「壁にぶちあたって前に進めない」などと思い悩んでいる人は少なくないはずだ。そんな時こそ、幾多の困難を乗り越えてきた、ホンダの創業者・本田宗一郎の声に耳を傾けてはどうか。ここではそんな彼の名言の一部を紹介する。
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ホンダの創業者、本田宗一郎は28歳の時、自動車のエンジンに使われる重要な部品、ピストンリングの製造に取り組んだ。しかしできたものは不良品ばかり。ここで諦めたら家族も従業員も路頭に迷うと必死で頑張ったが、まったくめどが立たない。人生最大のピンチに追い込まれた。
一念発起して浜松高等工業学校の聴講生となり、金属工学を学び、やっとものになるピストンリングの製造に成功する。製作に取り組んでから9か月が経っていた。後に本田はこう語った。
〈私の過去などは、現在を成功というならまさに失敗の連続で、失敗の土台の上に現在がのっかっているようなものである。
失敗の連続の中でチョイチョイと時たまタイを釣り上げるので、本田では大したものを釣った釣ったと言われるけれども、実際は釣れずにミミズから針まで取られて帰る日が多いのである〉
※SAPIO2011年12月7日号