どんな医師が担当になるかは、患者にとっての一大事だ。できれば、やさしくて優秀な先生に診てもらいたい。おまけに美女なら文句はない――。
だが、当の医者も同じことを考えている。医師たちは異口同音にいった。
「医者だって人間です。患者を選り好みしてはいけないという“タテマエ”はわかっているけれど、好き嫌いの感情に負けそうになることがあります」
吉祥寺セントラルクリニックの矢端正克院長は苦笑する。
「病状を説明しても全然聞いてくれない患者さんがいるんです。何度、食事や生活習慣改善の指導をしても実行しない患者さんもいる。自己管理をきちんとしないと医師にかかっても病気は治りません」
中には1時間以上くどくどと愚痴を続け、診察室に居座る中年の女性患者も。
「他の患者さんも診察を待っているのだから、今日はもうお帰りくださいと帰ってもらったこともあります」
男性医師の場合、若い女性の来院に色めき立つことだってある。
「男性医師による、若くて可愛い女性患者の争奪戦は、残念ながら日常茶飯事。彼らの眼光がマジなので、ちょっと怖いくらいです」
とは、都内の総合病院に勤務する仁科桜子医師だ。
「先日、セクシーグラドルが来院した際にも、壮絶なバトルがありました。その結果、男性医師の中でも飛びきり女好きの先生が診察することになったのですが、さすがに事態を憂慮した上司の強権発動で、私が担当することになりました」
港区のあるクリニックには、「前田敦子」が受診にきて大騒ぎになった。同クリニックの医師はいう。
「だけど、同姓同名のおばあちゃんでしたけどね」
中にはゲイっ気のある男性医師もいる。彼はイケメン患者の「首に違和感がある」という症状に深くうなずき、顎から首筋を何度も長時間にわたり触診していたという。
しかし、昨今はセクハラ意識が浸透しているから、医師は異性の診察に慎重にならざるを得ない。都内大学病院の内科医は証言する。
「診察室で医師と患者が二人きりになるシチュエーションにはなりません。必ず看護師が側につきます。聴診器を使う場合も、女性の胸部を露出させるのではなく、服の袖や裾から通して診察しているくらいです」
前出の仁科女医によると、「本当なら直接、肌に聴診器を当てるほうが正確なんですが……」とのこと。診察用の上着に着替えさせる病院も増えてきた。だが、横浜市の外科医は告白する。
「診察着は生地が薄く、乳首が透けるんです。これがまたセクシーなんですよ」
男性患者を診察する女医も油断はできない。仁科医師は肩をすくめた。
「女医が夫の胸のあたりをまさぐっていた、なんて通報をする奥さんがいたんですよ。触診や聴診は医師の大事なお仕事。誰が好きこのんで、オジサンの胸元なんかを触るものですか」
※週刊ポスト2011年12月2日号