夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回の報告は、ご主人(59歳)がエネルギー機器メーカー勤務の奥様(57歳)。この度、長女(26歳)の結婚が決まりました。
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相手は北海道の酪農家の長男で、私たちが住む神奈川県とかなり離れています。でも快く許した主人に、娘は感謝しています。「結納金100万円だって。これって少ないのかな?」という娘の報告にも、「金額なんかいくらでもいいんだよ。要はお前が幸せになることだから」という主人の言葉に、また感謝する娘です。
ところが翌日、その主人が憮然とした表情で、
「同僚に聞いたんだけど、結納金って関東では半分、関西だと2割ほど新郎側に返すらしいけど、神奈川県って東京より西だから、関西だよな」
「そんなことないわよ、関東よ」
私の返事に、
「あのなァ、50万返すか、20万で済むかの大問題だぞ! お前、もんじゃ焼きとタコ焼きはどっちが好きだ?」
「う~ん、タコ焼きかな」
「だろ! 大事なのは住んでいる場所より気持ちだ。我々は阪神ファンでタコ焼き好き、ソバよりうどんの関西気質だ。結納金は20万円しか返さないからな!」
その主人の声を遮るように「金額は問題外じゃなかったの!? お父さんってサイテー!」振り向くと、怒りでワナワナ震える長女の姿が。あ~あ、お金を失うのがイヤで、娘の信頼を失っちゃったみたい。
※週刊ポスト2011年12月2日号