九州のとある地方都市。ノスタルジックな雰囲気が漂う「純喫茶ふたば」は、新興勢力のカフェに押されて、25年の看板を下ろすことに…。その当日、常連客が集まって恋バナに花が咲いている。だが中には、“それ、軽い罪になるんじゃないの?”という話もチラホラ。
これまで裁判官の意外な姿や、都道府県の身近な条例を紹介してきた法律を専門とするライター・長嶺超輝さんは、『恋の六法全書 ガールズトークは“罪”ですか?』(阪急コミュニケーションズ)では“恋愛”をテーマに、シチュエーションドラマ風に法律を解説している。
「法律本で男女の問題というと、弁護士さんの手による離婚・慰謝料・養育費といったリアルな問題が多いと思います。けれど、未婚で恋愛中の人をメインに法律と絡めて扱ってみても、身近な問題がわかっておもしろいのではないかと思いました。そして、法律に不慣れな人でも“これなら読める”という本にしたかったので、コント台本の形式にしたんです」(長嶺さん・以下「 」内同)
例えば、登場する店員のキョウコは恋愛には積極的で、同棲をしていたダイスケと別れたのだが、そのときに、一緒に飼っていた犬やベランダで植えていたプチトマトを持ち出してしまった。
さて、ここからがクイズ。
彼の家から相手の同意を得ないで持ち出しても問題ないものは次のうちどれ?
1:彼が彼女にプレゼントした指輪
2:ふたりでお金を出し合って買った地デジテレビ
3:どちらが買ったかわからない玉ねぎやツナ缶の買い置き
4:読み終わって彼が紐で縛って玄関に置いていた雑誌
5:ベランダに置いてある彼のプランターに、こっそり彼女が植えたプチトマト
6:彼が飼い始めたが、ほとんど彼女が世話しているポメラニアン
「正解は1と5です。2のテレビは彼と彼女の共有物になるから持ち出しはダメ。「ただ、彼氏が負担した金額を払って了承をもらうなどすれば大丈夫でしょう。3の場合、どちらの所有物かわからなくなっているものは夫婦ならとりあえず共有とされますが、同棲の場合は誰のものかわからない場合、わからないままそれを勝手に持ち出すのはNGです」
4も、おそらく彼氏は所有権を放棄するつもりだろうが、紐で縛って玄関に置いてあるだけなら、本当に処分するか確定していないのでNG。
「6:犬は所有権が彼にあるので、あらかじめ約束(契約)していない限りNGです。または自分の飼い犬にするつもりで20年間世話をすれば民法の“時効取得”で飼い犬に切り替えられる可能性もありますが、彼を差し置いて飼うのは難しいでしょうし、犬が20年生きているかどうか…(苦笑)」
※女性セブン2011年12月8日号